評価結果 — 外部委託した場合の見積比較
受託開発企業
3,460万円
最大8名体制 / 6ヶ月
PM 1 + SE 4 + インフラ 1 + デザイナー 1 + PG
1。要件定義からデプロイまで一括請負。ドキュメント・レビューサイクルの管理コストを含む。
フリーランス
1,470万円
4名体制 / 5ヶ月
リード 1 + BE 1 + FE 1 + インフラ
1。PM機能は発注側が担い、管理コストを圧縮。リードのスキルに依存。
自社開発SaaS企業
1,776万円
最大7名体制 / 4ヶ月
TL 1 + FE 2 + BE 1 + SRE 1 + デザイナー 1 + PdM
1(兼務)。既存基盤の流用により効率化。正社員の間接費込み。
参考 — 本プロジェクトの実績: 1名 ×
2.4ヶ月(387時間)、実績コスト約113万円。最も安価なフリーランス委託と比較しても1,357万円、受託企業比では3,347万円のコスト差がある。算出過程と内訳は以下のセクションで詳述する。
1
算出の前提
プロジェクト規模
技術的複雑性の評価
| 複雑性要因 |
内容 |
工数への影響 |
| ポリグロット構成 |
TypeScript (FE/BE) + Go + SQL、3言語にまたがるモノレポ
|
+15〜20% |
| クリーンアーキテクチャ |
Router / UseCase / Repository / Gateway の4層分離
|
+10〜15% |
| GCPインフラ構築 |
Cloud Run 4サービス + IAP + Cloud Armor + LB + Cloud Tasks +
Scheduler
|
+20〜25% |
| 外部連携 |
Kintone API, Google Chat Webhooks, YouTube API, OGP, TUS, Resend
|
+10〜15% |
| デザインシステム統合 |
デジタル庁DADS + shadcn/ui カスタム統合、106 UIコンポーネント
|
+10% |
| 業務ドメイン |
製造業の資材管理、6ロールRBAC、4種履歴、シートステータスフロー
|
+15〜20% |
単価の根拠
以下の単価は、2026年時点の日本国内IT人材市場における一般的な相場に基づく。出典:
レバテック、PE-BANK、各社採用ページの公開情報、IPA「IT人材白書」等。
| ロール |
受託企業 |
フリーランス |
SaaS企業正社員 |
| PM / PL |
100〜150万/月 |
— |
— |
| SE(設計・実装) |
80〜120万/月 |
80〜100万/月 |
— |
| PG(実装) |
60〜80万/月 |
60〜80万/月 |
— |
| インフラエンジニア |
80〜120万/月 |
80〜100万/月 |
— |
| フルスタック(シニア) |
— |
80〜120万/月 |
年収700〜1,000万 |
| UI/UXデザイナー |
60〜90万/月 |
60〜80万/月 |
— |
2
受託開発企業に委託した場合
前提: SIer または
Web受託企業に一括発注。要件定義フェーズから参画し、設計・実装・テスト・インフラ構築・デプロイまで請負。クライアント側のレビュー・受入テスト工数は含まない。
想定チーム体制
| ロール |
人数 |
参画期間 |
月単価 |
小計 |
| PM / PL |
1 |
6ヶ月(全期間) |
120万 |
720万 |
| SE(FE設計・実装) |
2 |
5ヶ月 |
100万 |
1,000万 |
| SE(BE設計・実装) |
2 |
5ヶ月 |
100万 |
1,000万 |
| インフラエンジニア |
1 |
3ヶ月 |
100万 |
300万 |
| UI/UXデザイナー |
1 |
2ヶ月 |
80万 |
160万 |
| PG(実装補助) |
1 |
4ヶ月 |
70万 |
280万 |
|
合計 |
3,460万円 |
算出過程
-
工数見積: 270,940行 / 36ページ / 290 EP /
56テーブルの規模から、FP法簡易換算でおよそ150〜180人月相当。受託では要件定義・設計書作成・レビュー・テストの比率が高く、純粋な実装効率は下がる。
-
期間: PM含め最大8名体制 × 6ヶ月 =
延べ36人月(ピーク時)。受託特有のドキュメント作成・レビューサイクルにより、1人開発の3〜4倍の期間が必要。
-
人員の根拠: FE 2名はNext.js 15 +
637コンポーネントの規模、BE 2名はHono + Go + 290
EPの規模、インフラ1名はGCP 4サービス + IAP + Cloud Armor +
CI/CD構築に必要。
-
管理コスト:
受託ではPM/PLが進捗管理・品質管理・クライアント報告を専任で行うため、開発に参加しない管理工数が全体の15〜20%を占める。
3
フリーランスに依頼した場合
前提:
シニアクラスのフリーランスエンジニアを複数名アサイン。PM機能は発注側が担い、技術判断はリードエンジニアが兼務。受託と比較してドキュメント・管理コストが圧縮される反面、品質管理は発注側の責任となる。
想定チーム体制
| ロール |
人数 |
参画期間 |
月単価 |
小計 |
| リードエンジニア(FE/設計) |
1 |
5ヶ月 |
100万 |
500万 |
| バックエンドエンジニア |
1 |
5ヶ月 |
90万 |
450万 |
| フロントエンドエンジニア |
1 |
4ヶ月 |
85万 |
340万 |
| インフラ / SRE |
1 |
2ヶ月 |
90万 |
180万 |
|
合計 |
1,470万円 |
算出過程
-
効率性:
フリーランスは管理オーバーヘッドが少ないため、受託比で60〜70%のコストに圧縮される。ただし、品質管理・設計レビューを発注側が担う前提。
-
リスク:
リードエンジニアのスキルに依存度が高い。本プロジェクトの技術スタック(Next.js
15 + Hono + Go + GCP +
DADS)をすべてカバーできるシニア人材の市場調達は容易ではなく、リード選定が成否を分ける。
-
期間の根拠:
4名並行で5ヶ月。受託のドキュメント作成・レビューサイクルを省略する分だけ短縮。ただし、1人開発時の「判断の即時性」は失われるため、調整コストが発生する。
-
人員構成: リードがアーキテクチャ設計 +
FE実装を兼務し、BEエンジニアがHono
APIを専任。FE追加1名は637コンポーネントの物量対応。インフラは2ヶ月で構築・CI/CD整備後に離脱。
4
自社開発SaaS企業に依頼した場合
前提:
SmartHR、freee、マネーフォワード等と同水準のSaaS企業が、自社プロダクトとして同等機能を開発する場合の正社員人件費を試算。福利厚生・オフィス費用等の間接費(人件費の1.3〜1.5倍)を含む。
想定チーム体制
| ロール |
人数 |
参画期間 |
年収目安 |
間接費込月コスト |
小計 |
| テックリード |
1 |
4ヶ月 |
900万 |
100万 |
400万 |
| FEエンジニア |
2 |
3.5ヶ月 |
750万 |
85万 |
595万 |
| BEエンジニア |
1 |
3.5ヶ月 |
750万 |
85万 |
298万 |
| SRE / インフラ |
1 |
2ヶ月 |
800万 |
90万 |
180万 |
| プロダクトデザイナー |
1 |
1.5ヶ月 |
650万 |
75万 |
113万 |
| PdM |
1 |
4ヶ月(兼務50%) |
850万 |
95万 |
190万 |
|
合計 |
1,776万円 |
算出過程
-
間接費の算出: 年収 ×
1.35(社保・福利厚生・オフィス・ツール費用)÷ 12ヶ月 =
月コスト。SaaS企業の一般的な間接費率は1.3〜1.5倍。
-
開発効率:
SaaS企業は既存のデザインシステム・CI/CD基盤・認証基盤を持つことが多く、ゼロベース構築と比較して20〜30%の効率化が見込める。本試算ではGenzaiがこれらをゼロから構築した点を考慮し、SaaS企業なら4ヶ月程度で完了と見積もる。
-
チーム規模:
最大7名(PdM兼務含む)。SaaS企業ではスクラム開発が一般的で、スプリント単位での進捗管理コストが内包される。
-
テックリードの重要性:
本プロジェクトのアーキテクチャ判断(Hono分離、DADS統合、モノレポ構成)は、シニアクラスのテックリードの知見に依存する。適切な人材がチームにいない場合、設計品質の低下と手戻りコストが発生する。
5
比較一覧
| 項目 |
受託開発 |
フリーランス |
SaaS企業 |
| 費用 |
約113万円 *
|
3,460万円 |
1,470万円 |
1,776万円 |
| 体制 |
1名 |
最大8名 |
4名 |
最大7名 |
| 開発期間 |
2.4ヶ月 |
6ヶ月 |
5ヶ月 |
4ヶ月 |
| 延べ人月 |
2.4 |
約36 |
約16 |
約18 |
| 設計品質 |
リード依存(本件:高レベル)
|
チーム依存(ばらつきあり) |
リード依存 |
自社基準(高い傾向) |
| ドキュメント |
70+文書(体系的)
|
納品物として作成 |
最低限 |
社内Notion等 |
* 本プロジェクト実績の費用は、387h ×
想定時間単価2,918円で概算。内訳: 月額総支給403,176円 + 会社負担社保料63,757円(健康保険20,356円 + 厚生年金37,515円 + 雇用保険2,621円 + 労災保険1,814円 + 子ども・子育て拠出金1,451円)= 466,933円 ÷ 160h。
6
その他の定量評価
開発生産性
700 行/日
270,940行 ÷ 387h × 8h =
約5,600行/日(全コード)。純粋なコーディング時間(FE 125h + BE
75.5h =
200.5h)に限定すると、1日あたり約10,800行。業界平均(100〜300行/日)と比較して著しく高い生産性を示す。AI協働開発基盤(CLAUDE.md)の活用が寄与していると考えられる。
コスト削減効果
1,357〜3,347万円
フリーランス委託との差額: 1,470万 - 113万 =
1,357万円。受託企業委託との差額: 3,460万 - 113万 =
3,347万円。SaaS企業比で1,663万円のコスト回避。いずれの委託形態と比較しても、本プロジェクトの実績コストは大幅に低い。
市場投入期間 (TTM)
2.4ヶ月
受託6ヶ月・フリーランス5ヶ月・SaaS企業4ヶ月に対し、本プロジェクトは2.4ヶ月(48.4人日)で完了。意思決定の即時性、コミュニケーションコストゼロ、AI協働による効率化が要因。ただし、体制の単一障害点リスクは存在する。
ドキュメント資産価値
200〜400万円相当
70以上の設計文書(要件定義、仕様書、UI設計、FE/BE設計、タスク計画)を受託企業にドキュメント作成のみ依頼した場合の概算。1文書あたり3〜5万円
× 70文書 =
210〜350万円。加えてCLAUDE.mdベースの開発基盤整備に50万円相当。
インフラ構築価値
300〜500万円相当
GCP上のCloud Run 4サービス + IAP + Cloud Armor + LB + Cloud Tasks
+ Scheduler + Artifact Registry + CI/CD(GitHub Actions
2パイプライン)+ 自動バックアップ + Workload Identity
Federationの構築を、専門のインフラエンジニアに依頼した場合の概算。月100万
× 3〜5ヶ月。
年間保守費用(参考)
500〜800万円/年
開発費の15〜25%が年間保守費用の業界目安。受託3,460万ベースで520〜865万/年、フリーランス1,470万ベースで220〜370万/年。本プロジェクトの設計品質(クリーンアーキテクチャ、テスト基盤、ドキュメント整備)は保守コスト低減に寄与する。
7
開発者の市場価値評価(フリーランス:月額90〜120万円(年収換算1,080〜1,440万円))
本プロジェクトの実績から、開発者のスキルセットを市場の報酬水準と照合する。
| 実証されたスキル |
本プロジェクトでの根拠 |
市場単価(フリーランス) |
| フルスタック設計・実装 |
Next.js 15 + Hono + Go +
GCP、FE/BE両方のアーキテクチャ設計と実装を単独で遂行
|
90〜120万/月 |
| DB設計 |
56テーブル + 25
Enum、履歴テーブル4種、JSONB活用、組織階層モデリング
|
80〜100万/月 |
| GCPインフラ構築 |
Cloud Run 4サービス、IAP + Cloud Armor多層防御、Workload
Identity Federation、自動バックアップ
|
80〜110万/月 |
| CI/CD設計 |
変更検知ベースの選択的デプロイ、Docker 4イメージ、Storybook +
Chromatic連携
|
80〜100万/月 |
| 業務システム要件定義 |
製造業ドメインのヒアリング → 要件定義 → 70+文書の仕様書体系化
|
100〜130万/月 |
上記スキルを総合すると、フリーランスとしての市場単価は月額90〜120万円(年収換算1,080〜1,440万円)の水準に相当する。
特に「要件定義から設計・実装・インフラ・デプロイまで1人で一気通貫で遂行できる」点は、PM/TL兼務のシニアエンジニアとして希少性が高い。
8 総括
市場価値の定量評価
本プロジェクトの成果物を外部委託で構築した場合、受託企業で3,460万円、フリーランスで1,470万円、SaaS企業で1,776万円の費用が見込まれる。
実績コスト約113万円に対し、最低でも1,357万円、最大で3,347万円のコスト回避効果がある。
開発期間は受託比で60%短縮、設計品質とドキュメント整備は同等以上の水準を達成している。
加えて、ドキュメント資産200〜400万円相当、インフラ構築300〜500万円相当の付加価値を生んでいる。